「なぁ、谷村。」

「んー?なーに?」

「いや、やっぱ、なんでもねぇ。」

「なんそれー?」

少しだけ、じゃなくてかなりあたしより上にある

京吾の顔を見上げつつ、ただただ隣を歩く。

…なんか変な感じ。

こうやって、2人で歩くことなんて

友達のときもあったはずなのに。

"恋人"ってなっただけで

こんなにもドキドキするなんて。


「あ、あのさっ。」

「ん?どした?」

「あのー…。えっと。」

あたしは、自分の手と、京吾の手を

交互に見つめてから

「手、かして?」

と、言った。

"手、繋ごう"なんて、言えるわけもなくて。

「手?」

「う、うん。」

「ほい。」

手のひらを上にして、あたしの方に差し出してくる京吾。

あたしは、その手に自分の手のひらを重ねて、指を絡めた。