「お前の名前なんだっけ?」 私は顔を背けながら男に聞いた。 「九路。水谷九路」 私の方を真剣な目で見てきた。 その真剣な目が私には明るすぎて見れなかった。 「覚えとくよ。 水谷が私を忘れるより私が先に水谷を忘れると思うけど」 私は歩き始めた。