私は彼が寝ている部屋へと向かった

充電中だから、
まだ彼と話をすることはできないけれど

私は少しでも、彼のそばにいたかった


私は彼のベッドの隣に椅子を置き、
静かに腰をかけた

彼の赤茶色の髪に、触れてみる

完全に、自然に生える髪と同じ感触

見た目だって、人間と変わらない

彼は、なんの汚れもなく
透き通ったような顔をしていて

体つきは、普通の男性に比べて
少し細く見えるかもしれない

身長も、そう高くはない

どこか落ち着いて
心地の良い声をしている


私は、そんな彼が好きだ

愛している


私は人間

彼はロボット

なぜ、それがいけないのだろうか

私の親しい博士が造った、ロボット

人間が造り出した、ロボット

寿命のない、ロボット

食べたり飲んだりすることもできない

感情は、機械的につくられたものだ


だから、いけないのだろうか

だから、

私は彼を愛してはいけないのだろうか


私は彼を心から愛しているというのに


「人工的」というのは、
とても残酷な言葉である