「ねえ」

私は手探りで彼の体を探した

暗闇で彼の体はぼんやりとしか見えない

私は暗闇というものが好きではない


ようやく彼の服の裾を掴むことができて
私は少し安心した

「星って、夜にしか見えない」

私は彼に少しだけ寄りかかりながら
少し声の大きさを小さくして話した

「うん、そうだね」

暗いから見えなかったけれど
彼は少し笑った気がした

「それって少し、貴重な感じがする」

私は夜空に広がる1つ1つの星を眺めて
「あ、あれオリオン座だ」と声を上げた

「でもさ」

少しして、彼は言った

「昼にだって、僕らの頭上には
満天の星空が広がっている」

私はそう言われて、
昼のことを想像した


青空が広がり私は彼と一緒に散歩をして
のんびり暮らしている

空には、昼の顔をした星空がある

そんなことは、全く考えずに


「それって少し、不思議だね」

私は感心したように言った

すると彼は、こっちを見て、

「くすくす」と笑うんだ


「そうだね」

と呟いて。