「こんにちは」

「……はじめまして?」

「うんうん、はじめまして、だよ」

「えっと……」

「私は水羅って言います。他の名前もあるけど、ここでは水羅。それ以上でもそれ以下でもない」

「私はかなこです。五十嵐かなこ」

「知ってるよー」

「???」

「まぁ、いいんだよ。わかんなくて。かなこはわかんなくていいの」

「……はあ」

「でさ。生徒会長、どーよ?」

「え?んー……楽しいよ。みんなみんな、いい人」

「楽しいならば何より。五十嵐姉妹は天神らしくて好きなんだよねー。元気で明るくて、ほんの少し非凡」

「平凡、じゃないのかな」

「違うよー。平凡なわけがないじゃない。あなたもお姉さんも非凡。……あ、大抵のことに動じない天神らしさも好きー」

「……平凡にはなれないのかな」

「……なりたい?」

「なりたくないと言えば嘘になるかもね。平凡は素敵だ」

「非凡であり、天才なあなた達から見ればそうなのかもね。平凡は素敵じゃあないよ」

「憧れるよ。普通に生活して、受験して、失敗したりして、就職活動とかしちゃってさ。泣いて笑って。そんな普通の青春、憧れる」

「じゃあ、あなたはこの学園に来なかったら良かった?普通の学校で普通に青春したかった?」

「全然!!この学園にいないのなんか想像もできないよ!天神学園に進学して良かったっ!!」

「そう、それならいいんだ。私は間違ってなかった。あなたは非凡で、天才でもあるけど天神の中では普通の分類だと思うよ。たっぷり青春を謳歌すればいいさ」

「……うん、うん、そうだよね。よしっ!これからも頑張ろー!!」

「はい、いってらっしゃい」

「いってきまーす!!」