私の本当の両親は小さい頃に

流行り病で他界したと聞いている。



両親が亡くなってすぐに

親戚といわれている

このおばさんの家に引き取られた。



おばさんは実の娘の様に育ててくれた。


おばさんには感謝しても尽くせない

恩があるんだ。



その代わり、というと嫌な言い方だけど

少しでもたすけになればいいな、と

毎朝店の準備をしている。


それが私の日課だ。








おばさんは私の頬から手を離すと

店の外へと出て行った。





「今日もいい天気だねぇ」



大きく手を伸ばし

空を仰ぎ見るようにして言った。





「今日はアイツが帰ってくる日だから

悪いけど橋の向こうまで

迎えに行ってもらえるかい?」






空を見ていたおばさんは

くるっと私の方を見て言った。




アイツというのは

おばさんの旦那さんのこと。




となりの国へ行く用事があって

その用事が終わり今日帰ってくるのだ。




私は作業の手を止めて

おばさんの隣りへと行った。






「久しぶりにおじさんに会いますね」



ひと月前ほどのおじさんの

優しい笑顔、声が蘇って

思わず顔が綻んだ。