聖の顔は見れなかった。




薫子と一緒に笑ってる聖を見るのが怖かった。









幼なじみの二人。





腕を組むのが当たり前の二人。





薫子の言葉に笑顔を向ける聖なんてみたくない。












したくせに。




強引に、キス、したくせに。





聖は、遊びでキス出来ちゃうような人だったの?




本命がいても他の子とキスしちゃうの?







……………。










思い出さずにはいられなかった。




あの“部屋”での事。





余計に苦しくなるだけなのに。





頭に浮かぶ聖の顔。





心配するくせに強引で。




キスするくせに好きな子がいて。








ちょっと嬉しかったんだけどなぁ。






アタシをあの“部屋”に連れていってくれたこと。






“部屋”の存在は秘密なのかはわからないけど。





薫子が“部屋”の存在を知っているのかはわからないけど。





ううん。



知ってるよね?



きっと。







でも、





秘密なんかじゃなかったとしても、




それでも






嬉しかった。






確かなことはわからないけど、







嬉しかったんだ。







聖に

ちょっとだけ近付けた気がして。











あのとき、聖はどうゆうつもりだったのかな?






少しは…


ほんの少しは、


アタシに興味をもってくれたのかな?









「クッ…ゥゥ…」