麻紀が向かう先には一台の真っ黒い車があるけど…
いかにもお金持ちが乗るような車を所有する知り合いはいない。
もしかしら同じ学校の生徒なのかもしれない。
うちの学校はお金持ちの人が多いらしいし。
麻紀はまっすぐその車に近寄った。
アタシは運転席をこっそり覗いてみた。
でも乗っているのは全く知らないおじさん。
あれ?
アタシ達が近づくとそのおじさんは車から出てきてアタシ達の前に立った。
「さぁ、どうぞ」
スーツに身を包んだおじさんが紳士的な態度でその長い車のドアを開けた。
「うわぁ、お金持ちだぁ〜」
つい口にしてしまうと横から麻紀に突っ込まれた。
「あんたの家にもあるでしょうが!」
え?
あるけど乗るのはママだけだもん。
それに家は白だし。
「うちにあるのは白だし?」
「…だから?」
「…」
まぁ、ちょっとはお金あるかもね!
パパは社長さんだしね。
あれ?まだ登場してきてないからみんなはしらないんだっけ?
うちのパパは社長さんなんだよ。
たいてい外国にいるから出番が少ないけど。
「ありがとうございます。」
丁寧にお辞儀をして乗り込む麻紀に続いてアタシも乗り込んだ。
……はい?
「はい?」
ええっと………
「聖?」
「じゃ行こっか。麻紀ちゃん忘れ物はないかな?」
あれ?
「うん。大丈夫♪」
「ちょっ!なんで?」
「ん?」
麻紀を肘で子突いたけど返ってきたのはなにが?だった。
もうっ!
あぁ、なんだってゆうの?
なんで聖が迎えにくるの?
この車は…聖のお父さんは理事長さんなんだからお金持ちなんだろう事はわかった。
でも!なんで?
聖もたっちゃんのバースデーパーティにいくの?
いやだ!
気まずい!
麻紀が話さなくなると聖は無言で。
車内が静かになって…
静かすぎる!
はぁ。
こんな展開ってある?
有り得ないよぅ…

