キーンコーンカーンコーン





「よしっ」





チャイムが鳴ったのを聞いて教室に入った。



「あっ!桃香!ドコ行ってたの〜?」

美香が不思議そうに尋ねる。

「うん。ちょっと」

「…なんか顔色悪いよ?大丈夫?」

「そ、そうかな?全然元気だから大丈夫だよ!」

「そっか。無理しちゃダメだよ?」

心配そうにこっちを覗き込む美香に申し訳なくてちょっと罪悪感を感じながら笑顔を作り頷いた。



今は放課後。

今日は近ちゃんが会議とかでホームルームはない。

アタシは美香に笑顔でバイバイして鞄を持って教室を出た。

ふぅ……

早くお家に帰って横になりたい。




聖と二時間近く一緒にいてずっと緊張してた所為かなんだか疲れた。



それに、あんなキス、されちゃって…



嫌だと思いながら拒みきれなかった自分への苛立ちと
強引すぎる聖への苛立ち。


嫌な感情で溢れている自分を誰にも見せたくなくて早く一人になりたかった。



なにも考えずに寝てしまいたかった。







足早に廊下を歩いて人込みを避けた。


「桃〜!」

ビクッ

あ、麻紀。

「ちょっとぉ!あたしを置いていくつもり!?」

「あ、」

「てゆうかあんた顔色悪いよ」

「そうかな?」

「……なんかあった?」

やっぱり麻紀には適わないな。

「うん、ちょっと…あった」

素直に言ってみた。

でも話したくない。

「そっ。じゃ気が向いたら話してね。」

今は問いただす気はないらしい。

ちょっとホッとした。

「ありがと」

付き合いの長い友達は気が楽だね。

いつもは隠し事するなって言うけど本当に聞かれたくないことは聞いてこない。

「あのね、たっちゃんがね、」


たっちゃんの話を聞きながら家に帰った。