「フゥ……ン…」
どのくらい時間が経ったのか…
ずっと離れない唇。聖。
嫌だって思ってるはずなのに
アタシの身体は拒んでいるのに
心が言うことを聞かなくなる。
胸が高鳴って
心が暴走しだす。
制御できなくなる。
消えたはずの想いが
アタシの中に潜んでいたのかもしれない
頭が働かなくなっていく。
どんどん。
落ちてはいけない
危険な闇に溶けてしまいそうだった。
飲み込まれちゃいそうだった。
不覚にも聖のキスに酔ってしまいそうだった。
心を奪われてしまいそうだった―――
―――違う。
初めから。
あの時揺れる電車のなかで目が合った瞬間から
アタシは聖に溺れていた
のかも、しれない。
この時、アタシは気付いたんだ。
もう止められないって。
止まらないって。
それでもアタシは…
その事実を、この想いを、
一度捨ててしまった心を、
素直に受け入れることが出来なかった……