桃色☆クローバー

「バスケ出来んの?」

え?

「はい。一応バスケ部でしたのです」

葉澤先輩の急なお言葉。

心臓が飛び出そー…

「桃ちゃん中学の時全国行ったんでしょ?しかもエースで大活躍って聞いたよん♪」

ええ!?
しげくん何でそんなこと?

「あいつが自慢してた〜」

しげくんが指差す方にはたっちゃんに腕を絡ませる麻紀の姿が。

「へぇ。凄いじゃん」

あ…

てへっ。

葉澤先輩に誉められちゃった♪

「ね、ちょっと来て?」

「え!……あ、」

てぇええぇぇぇ!?

ちょ、何?急に…

「あ、葉澤先輩?」

「…………」

無言でアタシの手を引く葉澤先輩。

何がどうなってこうなってるの?

先輩!

手が!



しっかりと、でも優しく掴まれた手が熱い。

そして顔もめちゃくちゃ熱くて…真っ赤になっているはず。

アタシの問い掛けを無視して歩く先輩。

うしろでしげくんがポカーンと口を開けて見ているのが視界に入った。

でもアタシはその手に逆らう事無く付いていく。




どこ行くのかな?






「先輩!どこへ…」


「ねぇ、先輩っていうの辞めない?」

「え!?」

「ひじり」

「?!」

「ひじりって言ってみ?」

何を言われているのかよくわからない。

「え、ひじり…」

「これからは先輩とか呼んじゃダメだからね?」

なんだか今日の先輩は変だ。

よく知ってるわけじゃないけど、アタシが知ってる葉澤先輩とは違う。

初めて見る、ちょっと不機嫌そうな先輩。

なんか、怒ってるような気もするけど…



少しだけ怖い感じがして、アタシは素直に返事をすることしか出来なかった。

「…はい。」

「…敬語なんだ?」

…え?……あ、そうだ

この前敬語は無しって言われたんじゃん!

忘れてた…

「ごめん」

で良いのかな?

「桃香さぁ、しげと仲良いんだね?」

あ……

更に機嫌が悪そうな顔をする先輩に戸惑って身体が後退る。