「おぅ、蓮美かぁ」

たっちゃんはアタシの前まで来ると笑って口を開いた

「お前一週間も休んで…男か!?」

え……

「まぁ、何でもいいけど高校くらいはちゃんと卒業しろよ。」



なんなんだ、この人。

突然。

あまりにも軽いノリ…話し方をするので戸惑うアタシ。
たっちゃんはそれを気にする素振りもなく笑いながらアタシの頭を撫でて「授業始めるぞ」と言ってアタシの横を通り過ぎた。


「ね、たっちゃん…ていうか、ここの先生はさ、中学の時とは全然違うよ。どの先生もみんな良い先生だよ。まったっちゃんは格別♪」

そう言うとアタシの手を取って、いつのまにか整列していた生徒達の後ろに並んだ。




全員が整列し終えるとたっちゃんの合図で地べたに座った。



隣に座ってる麻紀を見ると、こっちをちらっと見てニヤけながら話し掛けてきた。

「たっちゃん、格好いいと思わない?」

麻紀の瞳がキラキラ輝いている

「うん。麻紀のタイプだよね。アタシは興味ないけど。好きなんだ?」

にやりと笑って麻紀の様子を伺う。

「うんっ。めちゃめちゃ好き。」

ちょっと顔を赤くさせて微笑む麻紀。

可愛いっ!

好きな人に対して真直ぐで羨ましくなる。
麻紀の好きなとこ!
自分の気持ちに正直で素直で明るくて。
麻紀といると癒される。
アタシは素直じゃないから。
見習わなきゃいけないんだけどね、素直ってなかなか難しくて‥

「…応援する。頑張んなよ。」

アタシが微笑むと麻紀は深く頷いた。

微笑んでいたはずが心配そうな顔をしてしまったのか、それとも麻紀にはアタシの考えなんてお見通しなのか、麻紀はアタシの心の中の不安を受けとめて、‘大丈夫’と言うような笑顔を見せてくれた。麻紀のほうが不安なはずなのに。


麻紀があまりにも真剣に先生を見つめているのを見て少し羨ましく思った。
アタシも恋したい!
誰かを真剣に好きになりたい!

‥ふと朝の電車の中の出来事を思い出した。
あの人のことを。
名前も何も知らないけど、すごくひかれたんだよね。
あの可愛い笑顔に。


もう一度会いたいな‥‥