かがんで踏んでしまったモノを拾い上げる。
ギターのピック、
『NATSUMURA・・・夏村君の!?』
わ、割っちゃった!!どうしよう、大切なモノだったら。
そう考えると思考より足が先に動いた。
走って走って数分後学校を出た夏村を追いかけた。


校門を出て辺りを見回す。
まだ見えないところには行ってないはずだ、
『・・・っいた』
信号の向こう、数メートル先。
点滅し始めた信号に引っかかり、息を切らして夏村君を追った。

『なぁつむら君ッ!!』
必死の形相で叫んだ。
「・・・・・・冬谷さん?」
立ち止まって振り返った夏村君に
ちょっと待ってと手を出した。
「走ってきて何?」
『あの、・・・これ・・・ごめん・・・』
割れたピックを差し出す。
「え、あ、やべ落とした?ごめん」
『いやいや、割ってゴメン』
「・・・それより、ちょっといい?」
『いいって』
「いいから来て」
勝手に。強引に。腕をひかれて入った先は。
『ちょっと夏村くん?此所どこ?』
「えーその前に、これのこと忘れてくれるかな?」