モナはジュリアにこっそりと耳打ちしたが、小さな声でも聞き取ることができるので、ギャレットは後ろからジュリアを抱きしめた。

「俺はギャレット。よろしくね、モナちゃん」
「ギャレット、やめろ。俺はケネスだ」
「僕はモナだよ、モナ・ホートン。よろしくね」
「モナちゃんは一人称が僕なんだ。珍しい」
「そうかな?でも、そうかも。僕以外はみんな私だから」

 モナは小さい頃から一人称が僕だった。それは彼女の父や兄が自分のことを僕と言うから、自然に自分もそうなったと聞いた。

「ところで三人で買い物かな?」
「うん、そうなの。何かいい薬はないかと思っていてね」
「それだったら、僕の店においでよ。どうかな?」
「店?何の店を開いているの?」
「魔法具を売っている店だよ。商品がたくさんあるから」

 モナは日頃から魔法薬を作っていることは知っていたけれど、まさか自分の店を出していたとは思いもしなかった。

「ジュリアちゃん、行こうよ。せっかくモナちゃんが誘ってくれているから」
「お言葉に甘えて、行こうかな」
「決まりかな?案内するからね!」
「モナちゃんはいつから店を出していたの?」
「今から一年前かな。ジュリアは十六歳だよね?いいね、若くて」