真っ暗でギャレットの顔は見えないが、笑っていることはわかる。

「ギャレットは悪戯好きなのね」
「ジュリア嬢限定だよ」

 胸を張って言うことではない。はっきり言って、心臓に悪いからこれっぽっちも嬉しくない。

「もう少し私が喜ぶような限定にして」
「どうして嫌がるの?楽しいじゃない?」
「どこがよ!楽しくない!」

 確実に楽しんでいるのはギャレットだけ。ギャレットはジュリアの髪を弄んでいる。

「二人はどうして・・・・・・」
「ん?何?」
「どうして私の従者になろうと思ったの?」

 何もジュリアでなくてもいいはずだ。それなのに二人はすぐに決意した。

「食事のときにケネスが言っていたじゃない?あの通りだよ?」
「他にも何かあるように思えて仕方がないの」

 目の前は何も見えないのに、ギャレットの瞳が揺れているようだった。

「本当にそう言い切ることができる?」
「いや、確かにあれだけじゃないよ。後日言ってあげる。だからね・・・・・・」

 ギャレットの声が小さくなっていく。

「あ・・・・・・」
「おやすみ。ジュリア嬢」

 強い眠気に襲われてジュリアは目を開けようとしたけれど、やがて閉じて深い眠りについた。