怒りに震える俺を見てハァと小さくため息を吐くと
「寧々ちゃん。
寧々ちゃんがパパに叩かれてる時、ママは何も言わなかったの?」
静枝さんは、諦めることなく寧々に問いかける。
寧々は悩んだように押し黙ると
「言うと……ママも叩かれるから……」
それだけを口にする。
「なんだ、それ……!!」
あんなに泣いて寧々との再会を喜んでたくせに。あんなに寧々を求めてたくせに、結局行き着くところはそこなのか??
寧々を守らず、自分だけを守るのか?!
最低だ!
最低だ!!
最低だ!!!
やっぱりあいつは俺の母親と同じくらい、人間として最低の女だったんだ。寧々を預ける価値もない!!
耳にした瞬間
一気に生まれた嫌悪感。
行き場のない大きな怒りを感じて、その怒りをセーブできずに怒りに任せて後ろ手で壁を殴ると
「う、うわあぁぁぁーん!!」
その音を聴いて、寧々が堰を切ったように大声で泣き始める。



