不安にかられた俺はバスタオルで寧々の体をグルンとくるむと、横抱きにして脱衣場を後にする。
俺はハーフパンツを履いただけで、上半身は裸だったけれどそんなことは全く気にせず、静枝さんのいる園長室を目指す。
「に、にいちゃん?!」
「黙って、寧々。
兄ちゃん……お前をこんな目に合わせたヤツ、許さない!!お前をこんな目に合わせた場所になんて、絶体帰さない!!」
今日のアザは決定的だったけど……今思えばあの赤い虫刺されみたいなやつも虐待の跡だったんじゃないのか?
人間は思いっきり体をつねると赤く跡が残る。
それを思い出して俺は本当にゾッとする。
一ヶ月以上続いた、寧々の体のアザ。
消えることのなかった体のアザ。
それはきっと考えるだけで怒りに震える、最低な行為の跡。
寧々は虐待されてる。
何者かに確実に――……
園長室の扉の前に立ち
「静枝さん!!」
大きな声で彼女を呼ぶ。
必死な俺の表情と腕の中の寧々を見て
「どうしたの、光太郎。」
彼女は目を白黒させている。



