あの日、あの夜、プールサイドで



真彩が指定した時間に、俺は黒いジャージに白Tシャツという力を抜いた服装で駅に現れた。


途中まではお気に入りのジーンズにTシャツを着ようと思っていたけど⋯⋯忘れる努力をしなきゃいけない相手に肩肘張るのもどうなんだろうと思って、やめておいた。


駅に着いてすぐ、俺は真彩に


『東口で待ってるから。着いたら電話して。』


とメールを送る。



酒さえ飲んでなければ車で迎えに行った所だけど、残念ながら今日の愛車はボロボロの赤いチャリンコ。


親父が昔、仕事に行くときに使ってたボロボロの自転車だった。



チャリを停めてガードレールに腰掛けて真彩を待っていると、若い女の子たちがチラチラと俺を見る。



——あ~~あ。

きっと不思議なんだろうな。

こんなオッサンがボロボロのチャリ片手に待ち合わせしてるなんて、若い子から見たらひどく滑稽に見えるんだろう。



高校生に戻った気持ちになって、そんな冷たい視線に耐えながら真彩をじっと待っていると


「先生!!」


真彩は改札を出て、小走りで俺に向かって走り寄ってくる。




その姿がかわいくて
その声にホッとして


「この不良娘!こんな時間に出歩いちゃダメだろうが。」


クスクス笑いながら真彩の頭に軽くチョップを食らわせると


「だって⋯⋯。こんな日に一人でいちゃいけないと思ったから。こうでもしないと先生は会ってくれなかったでしょう??」


俺のカワイイ天使は真面目な顔して、俺の瞳をじっと見据えて


「強行突破しかないって思ったの。迷惑だったら⋯⋯ごめんなさい。」


こんな嬉しい言葉を口にする。