あの日、あの夜、プールサイドで



愛着があって
弟みたいに感じている、キラ。

大切な生徒
大切な教え子


俺は最後の最後でキラを裏切りたくなかった。真彩を欲しいと思う気持ちも本当だけど、キラを大切に思う気持ちも真実だった。


バカだよな。
真彩に惚れてるくせにキラを見捨てる勇気は持てない。遊びで軽く手は出す勇気はあるくせに、結局のところ俺はキラを裏切れない。


「でも、こんな夜に一人なんて…。」


そう言う真彩を愛しく思いながらも


「まぁね。さみしいはさみしいけど…仕方ないよ。そう言ってくれる気持ちだけで充分だから、気にすんな。」


俺は最後の理性を振り絞って、そんな言葉を口にする。



真彩は『こんな日に1人でいちゃいけない』と言ったけど、俺は大丈夫だから、と断り続けた。そんな攻防を続けて10分程したら、真彩は諦めて電話を切ってくれたのだった。



ーー淋しいけど…さみしくない。



さっきまでは虚無感に襲われて、淋しさよりも1人になってしまった孤独感に押しつぶされそうになってたけど、今は少しだけ心の奥がほんわかと温かい。



真彩の声を聞いたから…だと思う。




自分を心配してくれる声に出会えたから。俺は一人じゃないんだ、と感じることができたから、もう淋しくなんてなかった。