あの日、あの夜、プールサイドで



そんな俺をフフッと笑うと、握った手を離して俺の頭をヨシヨシと撫でる。


「和也、欲しいなら欲しがればいいんだ。」

「⋯⋯え??」

「好きなら好きと言えばいい。
どんなに人から非難されようと、後ろ指刺されようと、まっすぐに生きればいいじゃないか。体裁だとか体面だとか考えて、我慢して、誤魔化して、後悔ばかりの人生こそ⋯⋯つまらない。」



——オヤジ⋯⋯



「つらいなぁ、和也。
でも⋯⋯自分に嘘をつくな。
幸せは自分次第だよ。自分の心だけが⋯⋯幸せを決めるんだ。人がどう言おうと、自分が幸せだと思えばそれでいい。それで⋯⋯いいんだ。」




親父⋯⋯


親父のその言葉が嬉しくて
ダメな自分を認めてくれた、その大きな愛が嬉しくて


「⋯⋯ありがと。」


まぶたに溜まった熱いモノをグイッと手で拭って、それだけを口にすると



「愛してるよ、和也。
俺はオマエを誇りに思う。」



そう言って、満足そうに親父は笑った。





そして⋯⋯
夏の熱い日差しが差し込んだ、熱い熱いその日の夜。


親父の容体は急変し、親父は天へと旅立った。


“愛している”

“誇りに思う”


そんな言葉を俺に残して、親父は天へと旅立った。