「えぇ!?」
なんだよ、その癖!
知ってたなら教えてくれてもよくないか??
突然指摘されたクセに戸惑って、思わず左眉に手を当てると
「なぁ、和也。」
「⋯⋯なに?」
「オマエは明日死んでも幸せか?後悔はないか??」
神様みたいに柔らかな顔をして、親父が俺に問いかける。
——え??
突然聞かれた問いかけ。返事が出来ずに口ごもっていると
「人生なんてなぁ。ありえないことの連続だよ。嬉しいことも悲しいことも山のように現れる。」
「オヤジ⋯⋯。」
「明日が絶対にあるなんて誰にもわからない。何が幸せかなんて、そいつにしかわからない。和也、俺はな??みんなから“貧乏くじの人生だ”なんて言われてるけど、俺は俺の人生を悪くない人生だったと思ってる。」
そう言って。親父は細い細い手をゆっくり伸ばして、俺の手を引き寄せる。そして弱い力でギュッと俺の手を握りしめると
「金はないけどオマエと一緒に過ごした日々は俺の宝物だった。俺は明日死んでも悔いはない。生きたいように生きたし、後悔はない。」
そう言って強い瞳で俺を見つめる。
友達の借金を背負って
オフクロには逃げられて
下げたくもない頭を何度も下げて、苦しい思いをしてきたオヤジが言った“悪くない人生”
その一言に熱いものがまぶたの奥からこみあげる。



