あの日、あの夜、プールサイドで



最初は病院の中庭で2人で自動販売機に売ってるカフェラテを飲むだけだった。


だけど今では⋯⋯
2週間に一度はドライブデートして、一緒にオヤジの見舞いに行っている。約束してない週末も、病院に行けばボランティアに来ている真彩に会える。


あ~あ。
なんだよ、俺。
俺は酸いも甘いも知り尽くした大人の男だろ??


キラよりも真彩よりもはるかに大人で、人生経験も恋愛経験も積んだオトナのくせに。教え子のカノジョに本気になってどうするんだよ⋯⋯。



どうしようもない、俺。
ハマっちゃいけない女にハマった自分。



そんな俺に薄々気づいていたのかな??



「和也。」

「うん??」

「オマエ、あの女の子にホレてるのか??」


2人きりの病室で親父はベッドに寝たまんま、クスクスと笑いながら俺を見つめた。




土木をしてた頃は、健康だった頃は、太くて筋肉質だったオヤジの腕は、みるみるうちにやせ細って、枯れ木のように細く細くなっている。


小さくなったオヤジの隣に座って


「そんなことないよ。」


本心を隠してそう微笑むと


「ウソだな。」

「え??」

「知ってたか??
和也はウソつくときに左の眉がゆがむんだ。」



そう言って、親父は呆れたようにクスクス笑う。