真彩はキラに義理立てして“でも”とか”うーん”とか渋ってたけど
「ハッキリした理由がないなら、NOは受け付けないよ?」
「え??」
「キラがいる時にはちゃんと“向坂さん”って呼ぶから安心してよ。今だけだから。」
オトナのずるさを表情の奥に隠して善人面してほほ笑むと、真彩は俯いたまんましばらく考え込む。そして小さな声で
「あっちゃんも私のコト“真彩”って呼ぶし⋯⋯。深く考えなくてもいいのかな⋯⋯。」
と呟いた後
「うーーん、じゃぁ二人きりの時限定でならいいですよ??」
困ったように頷いた。
◇ ◇ ◇ ◇
真彩とのデートは楽しかった。
今まで付き合った彼女より、遊びでデートした女友達より、何よりも楽しかった。
そして引き返せそうにない自分をヤバイと思った。
我慢するつもりだった。
彼女に惹かれている自分に気づきつつも、最後の最後では引き返さなきゃと思ってた。
でも⋯⋯
知れば知るほど溺れていく自分。
もう引き返せないほど、彼女に惹かれている自分が怖かった。
そのくせ
「なぁ、真彩。」
「なんですか??」
「今週末ヒマ??ヒマだったら親父の日用品を買うの付き合ってほしいんだけど。」
優しい真彩を小ズルい算段で引き寄せる自分。
こういえば真彩は絶対にNOと言わないことをわかってて、俺はいつも何かとオヤジの名前を出していた。



