あの日、あの夜、プールサイドで



  ◇  ◇  ◇  ◇


女はスタイルが良くなきゃ、とか

髪が長くなきゃ、とか

センスのいいヤツじゃなきゃ、とか



ガキの頃はコトあるごとに外見を気にして、外見だけで判断してたけど⋯⋯。オトナになってみると、そんなのってどうでもいいことだと改めて気づく。


私が、私が!!
っていうタイプはきっと俺には似合わない。俺自身が自己主張の強いタイプだから、二人でキィキィやってたらあっという間に疲れてしまう。



そう言う意味では⋯⋯
真彩はマズイくらいに俺のタイプだったと言わざるを得ない。




「先生、コレ。おてふき。」

「あ、サンキュ。」

「あと冷茶も持ってきたから、ノド乾いたら言ってくださいね。」




真彩と行った、夢の国。
弁当なんて冗談のつもりだったのに、真彩は律儀に2人分の弁当を作って来てくれた。


俺の大好きなから揚げと卵焼き。
卵焼きは砂糖が入った少し甘めの味付けで、昔おふくろが作ってくれた卵焼きと同じ味がして懐かしかった。


ふんわりと柔らかに。どんな時でも視線が合うとフッと笑ってくれる、その笑顔が嬉しかった。


俺の話をいつもウンウンと聞いてくれて、尊敬のまなざしを向けてくれる、その瞳が言いようもなく嬉しくて、ガキみたいにドキドキした。



「じゃぁ、今日から俺、向坂さんのこと“真彩”って呼ぶからね。」

「え、えぇ!!?」

「そりゃそーでしょ。
今日は俺がエスコート役なんだから!それぐらいのご褒美くれたっていいと思うけど??」



卑怯なのは100も承知だった。
真彩はキラの大切な人。


わかっているくせに近づきたかった。


フリだけでもいい。
その場だけでもいい。
少しでも真彩に近づきたくて、俺はこんな卑怯な提案を口にした。