あの日、あの夜、プールサイドで



行きたいけど、お金がない。

そんな自分が恥ずかしい。


真彩はうつむいたまんま、悲しそうに「ごめんなさい。」と呟く。



ーー何やってんだ、俺。




自分だって超がつくほどのド貧乏だったはずなのに。金なんていつもなくて、遊びに行くことすらできない、気に入った服さえ買えない、そんな高校生だったはずなのに。



わかっていたはずなのに。
この子と自分はよく似ている環境にあるとわかっていたはずなのに、真彩にこんな表情をさせて、悲しい想いをさせてしまった自分が恥ずかしい。



ーーごめん。



俺は心の中で謝ると


「じゃぁ、こうしよう。入場料は俺が出すから、向坂さんは弁当作って来てくんない??」

「え??」

「おにぎりとか、簡単なモノでいいんだけどさ?お願いしてもいい??」


こんな提案を俺は真彩に投げかける。



「ほら。俺、オヤジが入院してからは外食続きで家庭の味に飢えてるしさ?向坂さんが弁当作って来てくれたら、結構嬉しいんだけど。」


これならきっと、真彩を傷つけなくて済む。


金がないなら、俺が出す。
なんて言ったら真彩は恐縮するだろうし、一緒に行っても肩身の狭い想いをして心の底からは楽しめないんじゃないか、と思った。


つーか、俺が真彩の立場なら、そんな言い方絶対に嫌だ。


可哀相、だなんて思われたくない。人から施しを受けるなんて、屈辱だ。と思ったに違いないから。