あの日、あの夜、プールサイドで



「じゃあ、今週日曜日に夢の国にでも遊びに行くか。」

「え、えぇ?!」

「何ビビってんの。
デートの定番と言ったらネズミーランドだろ??」


夢とおとぎの国のネズミさんの住処。


歴代の女たちは行きたがって、この名前を出すだけで手放しで喜んでいたモンだけど……


「え、でも……。」



目の前の彼女はウキウキするどころか、困惑気味。


「あー…っと…。もしかしてキライだった??夢の国。」


目の前で右肩下がりに落ちていく真彩のテンション。彼女の表情に何かを感じて頭をポリポリかきながら、尋ねると



「う、ううん!その逆です!
ずっと行ってみたい、って思ってたけど…」

「けど??」

「私…そんなにお金持ってないから…。」


恥ずかしそうに彼女がうつむく。




その表情を見てハッとする。


そりゃ、そうだよな。
彼女は児童養護施設育ちなワケで、自由になるお金なんて、本当にわずかしかないんだろう。


キラの友人たちはバイトして、自分のお小遣いを稼いでるらしいけど、真彩はいつも病院に来てボランティアをしてる。


バイトする時間なんてないだろうから、自分の自由になるお金は、ないに等しいんだと思う。