あの日、あの夜、プールサイドで



その言葉を聞いてカッときた俺。


よくも…よくもそんなこと言えるな!!



俺から真彩を奪っておいて

俺の大切なものを横取りしておいて

ニコニコ笑ってそんなこと言う月原が許せない。



「歯ァ食いしばれ!!」


思いっきり拳を握りしめ、その拳をもう一度振り上げたその時


「光太郎!?」


愛児園の門の中から、俺の愛する母親・静枝さんが飛び出してきた。




俺・真彩・月原、三人を見渡した後


「光太郎、その拳を下げなさい。」


いつになくキツイ口調で静枝さんは俺にそんな言葉を呟いた。




「イヤだ。絶対にイヤだね。
こんなやつ…死んだ方がマシなんだから。
ボコボコにして血まみれにしてやる!!!」


フンと笑ってもう一度月原に向き合うと


「やめなさい!!人を傷つけても自分の拳が傷つくだけです!!血で血を争っても何の解決にもなりません!」


そう言って。静枝さんは俺たちの元へタタッと駆け寄る。