あの日、あの夜、プールサイドで



許せない

許さない



愛したぶんだけ

信頼してた分だけ

目の前にいる真彩が誰よりも憎らしい。




冷たい視線を浴びせながら真彩を睨みつけていると


「やめろ、キラ。」


「は??」


「言っただろう??憎むのは俺だって。」


月原はハァとため息を吐いて、俺たちの会話に割って入る。




つまらないことに苛立って、目の前にあるすべてを壊してしまいたい衝動に駆られる俺。

すべてを悟りきった表情をたたえる月原。




――ムカつく。


コイツがムカつく。


コイツのこの静かな瞳を目の前にすると、自分がどんなに子どもなのかを思い知らされてイライラする。





「安心しなよ、月原。
真彩だけじゃなくてアンタのこともちゃ~んとしっかり憎んでやってるよ。」


「…そうか。」


「うん。女子高生に手を出す淫行教師なんて…死ねばいいんだよ、月原。」





この世にある憎しみ全て

自分の中に救う悪魔が月原にすべてをぶつける。



自分で自分に驚く。

こんな冷たい言葉が、こんな冷たい表情が自分の中から生まれているのかと思うと…自分に絶望する。



やっぱり俺はダメなんだ。

どんなに頑張っても、どんなに隠しても、俺の本質は変えられない。




俺は……悪魔だ。

心の中に巨大な悪魔が巣食ってる。