あの日、あの夜、プールサイドで



指が肉に食い込むほどに、強く強く真彩の肩を掴む。


絶対にこんなに掴まれたら痛いはずなのに。いつもの真彩なら“痛い!”って悲鳴を上げて逃げていくはずなのに、真彩は眉を苦痛で歪めながらも俺の目の前から逃げ出そうとはしなかった。



「真彩。
我慢したって無駄だよ。」


「…っ…!!!」


「俺は月原を許せない。
100歩譲って真彩なら許してあげてもいいけど…俺は絶対にコイツを許せない!!!」



そう言い放って。真彩を横に追いやろうと力を込めると



「ゆ、許さなくてもいいから!!」



真彩は苦痛に眉を歪めながら、俺の瞳をキィっと睨む。




「…は??」




許さなくてもイイ??
100歩譲って許してやってもいいと思ってやってんのに、その言いぐさは何だよ。



――最高に腹が立つ。



「ほ、欲しかったのは…私も一緒なの。
ズルいから。私はズルいから流されてるフリをしてたけど……先生を欲しいと思ってたのは私も一緒だから!!」



真彩は最高にムカつく言葉を紡ぎ始める。