不安になった俺が、校門から出てきたキレイめのおねーさんに
「あの、すいません。」
「…はい…??」
「3年の向坂真彩って…まだ校内にいますか??」
おずおずと尋ねると、おねーさんは一瞬不思議な顔をした後
「向坂さん??
向坂さんは同じクラスだけど…今日は学校に来てないわよ??」
そんな一言を呟いた。
――え…??
どういうこと??
学校に来てないって…今日体調悪かったのか…??
事態の把握が出来なくて呆然とする俺。
焦点も定まらず、瞬きもせず、突っ立ったまんまの俺を見て首を捻ると
「じゃ…用は終わったみたいだし行くわね?」
おねーさんは長い髪をたなびかせながら、テクテク駅に向かって歩いて行った。
おねーさんがいなくなった後も
校門から行き交う人達が俺のコトをジロジロ見ても
俺はその場から動くことが出来ずに、ただただ立ち尽くしていた。
『今日学校に来ていないわよ?』
その一言が何度も何度も俺の頭をガツンと抉る。
そして…
『月原と真彩、あの二人ただの関係じゃないぜ??』
昨日の夜、ジュンが放った、たわいないあの一言が脳裏をよぎる。



