チャリをシャコシャコ漕いで、目指すは真彩の通う地元の高校。


『えっ、コウちゃん!?』


俺の姿を見たら真彩、驚くかなぁ…。
俺が練習の鬼なことはアイツもよく知ってるコトだから「真彩の為に来た」って言ったら喜んでくれそうな気がする。


――うん、大丈夫


きっと真彩は許してくれる。
練習よりも何よりも、真彩を優先したって事実があるんだから。


俺が練習よりも真彩を優先したって言えば、絶対絶対許してくれるさ。





俺はそんな思いを抱えながら、必死に自転車を漕いでいた。


頬に感じる風は早朝に感じるソレとは違って、太陽の光を浴びて温かい。


心地よい太陽の光と爽やかな風を感じてどれくらい自転車をこいでいただろう。



15分?20分??
無心でチャリを漕いだらいつもよりも早く地元に到着。
俺は校門の前で真彩が出てくるのを忠犬ハチ公のように、じっとじっと待っていた。



待つのはいい。
待つのは嫌いじゃないし、別に気にしてはないんだけど…


「ねぇ…アレって…。」

「うちの高校のコじゃないよね??」


制服の違う俺が校門前でチャリ持参で立ってるモンだから、校門を出て家路につこうとする女子高生からジロジロクスクス好機の目で見られてしまう。




――う、うぅ!!いたたまれない!!

なんか珍獣を見てるようなその視線、やめてくれ~!!




そんな女子高生・男子高校生の視線に耐えながら。
必死で何気ない風を装って、ただひたすら真彩を待っていたんだけど…。




10分経っても20分経っても真彩は俺の目の前に現れない。



あれ??
遅くないか…??



正直、真彩の下校時刻が何時なのかっていうのは練習バカの俺には知りようもない所だけど、おんなじ高校生なんだ。俺の学校も真彩の学校も終わる時間なんて似たようなモンだと思うんだけど……。