あの日、あの夜、プールサイドで



俺と真彩

お互いの体温を確かめながら
不安な気持ちを押し消しながら
2人でどれくらい歩いていただろう。


「コ、コウちゃん……」


突然真彩が俺の手をグイッと引っ張って離さない。



まるで氷で固まったかのようにフリーズする真彩のカラダ。


「どうした?真彩。」


不思議に思ってアイツの顔を覗き込むと、真彩はゆっくりと手を上げる。



「あ、あ、あ、あそこ…
あそこ見て……」


そして震える指が指さす、大きなクスノキの根元を見た瞬間


「寧々!!!!」


俺は恐怖で体が震えた。




そこにいたのはぐったりとした寧々が仰向けになって倒れている姿。




真彩の手を振りほどいて

「寧々!!寧々!!!」

俺は寧々に向かって全速力で走り出す。




「に、にいちゃ…??」




その小さな体を見た瞬間
俺は怒りで体が震えた。


寧々の顔と体には無数の殴られた跡がついていた。


殴られたなんて生易しいモノじゃない。


明らかに殺意を持って。
小さな子供だからと言って加減なんて何もしていない、生々しいほどの赤黒い打ち身。


口からは血がタラリと垂れていて、カラダは肌色の部分がほとんどないほど、濃い紫と赤黒い打ち身で腫れ上がっている。



「だ、誰がやった!?
こんなひどいコト…誰がオマエにやったんだ…!!!」



傷だらけになった小さな天使を抱きかかえながら、流れ出そうな涙を必死に押さえながら。アイツの頭をそっと撫でて尋ねると


「ね、寧々が…悪い子だから……」


寧々はこんな言葉を口にする。