「珀は……いつでも前を向いていたわ」 私は呟き、やっとのことでやまがみさんに微笑んだ。 「珀は、私にもそうであって欲しいと願っている。だから」 だから、私は。 震える指先にもう片方の手を添えて、薬のように最後の一口を飲み干した。 柔らかい、珀の匂いが広がる。 今まで飲んだどんなジュースよりも甘く、苦しいくらい、しょっぱい。 「結奈」 最後の珀の想いが始まる。