孤独と孤立と絶縁と


見上げれば雲一つ無い快晴。
昨日の雪は既に溶け、その姿は何処にも見当たらない。
身を掠める風は相変わらず冷たく、吐く息はうっすらと白い霧となる。



 「…人に遅刻するなと言っておきながら、当の本人は何してる……」


王宮の外、頑丈な柱に背を預けるコハクは時間を確認すると溜め息を吐く。


待ち合わせ時間は過ぎている。


待たせては悪いだろうと早めに来てはみたものの、彼女は幾ら待っても姿を現さない。


やはり風邪でもひいて寝込んでいるのだろうか。

昨夜はあんなに楽しみにしていたのに。




 「コハク!」


これ以上待っても仕方無い。
独り熱にうなされている彼女が心配だ。


そう思い其処から立ち去ろうとしたまさにその時、自らの名を呼ぶ声が背後から聞こえてきた。


聞き覚えのあるその声に振り返ると、此方へと駆けてくる女性の姿が目に入る。




 「セイラ、お前……」


溜め息混じりに言葉を発するが、コハクは途中で言葉を止めてしまう。


と言うのも、何時もと違う彼女のその姿に見とれてしまったからである。