「…平気、なの……?」


その身に触れたのに、こんなにも近くに、傍に居るのに、彼女は全く変わらない。


普通なら気分を害し怯え逃げ、運が悪ければその命すら危ういというのに、この少女は只セイラを見上げ涙する。




 「彼女も特別なのかもしれないな」


屈んだコハクは少女の涙を拭い抱きかかえ、優しく微笑み頭を撫でる。




 「俺と同じように、お前の傍に居れる存在なんだ、きっと」


 「…私の、傍に……?」


不思議そうに少女を見つめるセイラ。


触れようと伸ばした手を引っ込めるが、コハクにその腕を捕まれる。


大丈夫だと微笑みかけられ、恐る恐るセイラは少女へと手を伸ばす。



その人の温かさに、柔らかさに、セイラは瞳に涙を浮かべ微笑んだ。





厚い雲に隠れる事無く大地を照らす太陽の下、1人の少女の存在で暗い心に灯りが点る。



ずっとずっと変わらぬ日々は変わり行く。

独りの時は遠退いて、悲しみは喜びへと変化を遂げた。



そして彼女は

孤独から、抜け出して…