サイクルビート!

2人の2メートル手前でジャンプ。そして勢いを殺しきれず陽さんにぶつかりました。あ、これもいつもの光景ですね。

「だから!あんたも、いつも言ってんでしょうが!」

「えへへ~。ごめ~んネ!」

もはや呆れぎみに叱る陽さんに、のほほ~ん口調でへらへら言葉を返す少女。彼女は和泉ゆず希(イズミユズキ)さん。陽さん同様、佳乃さんとは中学からの仲。独特の雰囲気と口調、立ち振舞いから、際もの的レッテルがあるとかないとか。一部の男子生徒から人気があるとか、あるとか。

「んでんで?な~にを話してたのかな~?」

ニヤ~っと不敵な笑みを浮かべ首をかしげながら、陽さんに問いかけます。

「あー…、ちょっとあんた。あの輪の中に加わってみ?」

そう言うと陽さんは、黒板の前でケータイを触りながらキャッキャと楽しくお話中の4・5人の女の子グループを指差します。ほえ?っと振り向き確認すると、ゆず希さんはドン!と自分の胸を叩き、任せろと言わんばかりの顔で、トコトコとそのグループの方に近づいて行きました。