「では、山口様。すっかり外が暗くなってしまったので玄関まで案内します。」
私はにこやかに言いながら
スッと立つ
「………」
しかし、山口様は窓の外を見たままその場から動こうとはしなかった。
「山口様?」
「お前、どんだけ俺を帰らせてぇんだよ」
窓の外を見ながら少し低い声で唸ってくるが、私そんなのどうでもいい。
「そんなこと思ってないですよ?」
「じゃあ、この青空の中をなんで暗くなったと思えんだよ。あ?」
「……えへへへ…」
そう、まだ午後5時前の空は
夏の季節ということもあってか、青く澄み渡っていた。


