山口 直樹。
少し癖のある艶やかな黒髪
涼しげだけれど綺麗な二重の眼
薄い形のいい唇
私は柄にもなく見とれてしまった。
ここまでかっこいい男が世の中にいるだろうか?
「どうじゃろう?ワシの孫は」
クソじじぃの声でハッと我に返る。
「そうですね…女性らしい振る舞いに
美しい顔立ち。これは欲しい」
「!?…ちょっ!なんの話…」
「そうかそうか!ではこの話は了承と言うことで!」
「えぇ、お願いします」
私のことを無視して2人で勝手に何かを決めていく。
ここで大声で怒鳴りたいが、小さい頃からの教えで“女子たるもの客の前では男に忠実に。”というのがある。
それを忠実に守ってしまっているのはこの家系の血筋のせいだろうか。
私は黙って、しかし威圧的にクソじじぃを見つめていた。いや、睨んでいた


