「綾乃……ワシの隣に座りなさい。」
クソじじぃが私を呼ぶ。
今日はお祖母ちゃんがクソじじぃの隣に座っていない。
「……、はい」
私はただならぬこの空気をひしひしと身体で感じながら、他人もいると云うことで
素直にゆっくりとクソじじぃの隣に座った。
「綾乃、挨拶しなさい。この方は山口組の“山口 直樹”だ。」
「はい。はじめまして、山口様。お初目にかかります。」
私は未だ山口組?の男を見ずに、すぐさま顔を下げ挨拶をする。
「直樹さん、こいつはワシの孫の綾乃だ。どうじゃろうか」
「なるほど、綾乃さん。顔を上げて頂きたい」
「………っ、」
正直、驚いた。
こいつの声は低くて甘い
痺れるような声。
「……っ、…はい、失礼します」
私は未だ強張ったようになる身体に無理やりムチを打ちながら
できるだけ自然に顔を上げる。
「……っ!」
そして私は、また息をのんだ


