「お嬢、総大将がお呼びです。」

「あ、用事思い出したわ!
ちょっくら行ってくるね!じゃっ、」


私は軽く片手を上げ、門に向かって早歩きで進む。
あんなクソじじぃと話すことなんて何もない。


「逃がしませんよ、お嬢」


ガシリと私の肩を掴む哲。
私は冷や汗がどこからとなく流れ落ちるのを感じた。


「ちょーっと、今お話は嫌かなぁ…なんて……」

「はい、分かりました。行きますよ」

「待って、おかしくね?
分かったって言ったのに普通連れて行く?」


私の襟元を掴み引きずる。
首は締まるし、クソじじぃの部屋には段々と近づいていくし……




「私にも青春ライフを送らせてくれ」




こんな健気で可愛らしい願いを
聞いてくれる人なんて


この場所には誰一人いませんでした。