颯side


渚がこんなになるまで…。

なんで俺は、渚を守れなかったんだ…?


ベッドの上で横たわる渚の姿はいつもの渚じゃないことを

物語っている。


未だに流れ出る渚の血。


俺たちもここまで喧嘩をしたことがない。


がちゃ。


入ってきたのは麻穂さん。


「綾世服脱がして、颯君たちも恥ずかしがってる場合じゃないから

 ちゃんと見て。昨日言った渚の傷跡が背中にあるから。

 ちゃんと下着はつけてるから大丈夫よ。」


綾世と麻穂さんは手際よく渚の服を脱がせていく。


露になった渚の肌から除いたのは、女の体とは思えないほど

殴られ続けた跡。


綾世と麻穂さんは、止血して絆創膏を貼っていく。


背中にあったのは大きな傷跡。


「これが、渚の傷跡。咲夜が死んでからの渚の心の傷。

 自分を傷つけて、寂しさを紛らわしていたの。」


言葉が出ない。


渚………。