綾世side
渚をここまで…。
場慣れしていたとはいえ、妹を
こんなにコテンパにさてちゃぁ…
正直言葉を失うのは当然のこと。
颯たちは、私の後ろにいて、本当に声を出せない状態。
息すらできてないんじゃ…っていうくらい…。
私の目の前に過去がフラッシュバックされる。
そう、病院に駆け込んだ時の咲ちゃんの青白い顔。
渚まで死なせはしないよっ。
冷静を保ってるつもりだけど…
颯におんぶされてる渚の姿をみると動揺してしまう。
将太…絶対に許さない…。
「早く、お母さんに手当してもらおう。渚の止血が優先だよ。」
「あぁ。」
颯たちの顔は後悔でいっぱいだった。
「お母さん。渚が…」
「今すぐに、渚の部屋まで連れて行って。
お母さん用意してすぐに行くから。」
お母さんは焦りもせずに冷静に淡々と答える。
咲ちゃんもこんなこと日常茶飯事だったから、
予想はできたのだろう。
私は、お母さんに言われた通り渚の部屋まで颯たちを
連れて行った。
「ここに、降ろして。ありがとう。」
ベッドの上を指さしお母さんの到着を待つ。

