一匹狼に恋をした。



尚side


こんな小さな背中に、大きな傷跡を負ってるんだ…。


僕より、少し小さなこんな背中に…。


颯とかに比べればはるかに小さいけど、渚っちは誰にも負けない

強さを持っている。


こんな小さな背中を見ると、抱きしめてあげたくなる。


その傷跡を一緒に背負うから…。


お兄さんのことは、忘れちゃいけないことだけど、

忘れたほうがいいこともある。例えば…。


「将太君のこととかさ…」


「ん?なんか言ったか?尚。」


「え?ううん。なんでもない!」


「あぁ。そうかいそうかいっ!」


と、大きな手で子供みたいに頭を撫でまわす颯。


僕もこんなに大きかったら渚っちを守れたのかな?


なんで、僕はこんなに小さいんだろう…。