怜side
麻穂さんが言ったことは、俺たちにも残酷に思えることで…。
渚が隠したくなるのもわかった気がする。
それは、今から3年ほどまで遡ることで…
「将太君はね、渚の彼氏だったの。でも、渚と付き合ったのは
渚の兄の、「最強のヤンキー」としての地位を奪うためだけ。
将太君は渚に心なんて、奪われてなかった。
咲夜(お兄ちゃん)はね、この辺では名も知られるほど、最強の
ヤンキー。将太君はその作戦を決行し始めた。
その時、まだ弱かった渚を人質にとり、咲夜をおびき出した。
渚に傷を付けられたくなかったら、ここで一度も対抗せずに、
やられ続けろ。ってね。
どれだけ強いヤンキーでも、自分の大事な人は傷つけられたくはないわ。
咲夜は、言うとおりに抵抗せずにやられ続けた。でも、
落ちはしなかった。その咲夜に腹を立てて、、、
将太君は近くにあったナイフで咲夜を刺したの。渚の目の前でね…。
中学ぐらいだったかしら…。渚にとっては、認めたくない現実。
目の前で、昨夜が死んだんだもの…。それから半年近くは渚も
死を覚悟して生きてた。私たちが目を離すと、体に傷を付け続けた。
今もあるわ。渚の腕、背中、胸元、いたるところにね?
まぁ、簡単に言えばこんなとこかしら。長々と、ごめんなさいね。」
そういった麻穂さんの目にも少し涙が浮かんでいた。
渚が、嘘をついたわけも、大よその予想がついた。
渚にそんな辛い過去があったなんて…

