蓮side
尚の声にいっきに張りつめた空気になった。
「僕、渚っちが好きだから。」
尚の顔は、真剣は顔。
男の顔。守りたいものを見つけた顔。
いつもの、女みたいにへらへら笑ってる顔じゃない。
「尚。悪ぇーけど、俺も渚のこと好きだから。…多分…」
樹も同じことを言う。でも、最後の「多分」と、いう言葉を
聞いて少しほっとする。
「じゃぁ。この際だから俺も言っとく。
俺もあのバカが好きだよ。絶対ぇー譲んねぇーから。」
あの颯が女に本気になった。嬢、すげぇーな。
「怜ちゃんはどうなの? 女嫌いな怜ちゃんがあんなに
渚っち構うなんて、好きとしか思えないよっ!!」
必死に訴える尚。
怜は…
「俺は、渚を好きと思ったことがない。ただ、他の女とは
違う気がするだけだ。ほっとけないだけだ。」
「怜、それを好きだっていうんだよ。」
樹の真剣な顔。初めて見た。
「蓮はどうなんだよ?まぁ、俺はお前が相手だろうが
あのバカを譲る気はさらさらねぇーけどな。」
「俺?俺は、嬢の姿なんか目に映ってねぇーよ。」
さらさら…な。