渚side
雄介…サイテー…。
ちょっとでも、楽しいと思った私が馬鹿だった…。
また、男に裏切られるのは嫌だよ…。
と、無意識のうちに来た…。
「ここ…」
お兄ちゃん…。
鮮明に蘇るお兄ちゃんとの過去。
寂しくなったり嫌なことがあるとすぐにここにきてしまう
癖がある。てゆーか、癖付いてしまったようだ…。
でも、こんな服じゃ…。
プるるるる…プるるるる…
小刻みに震える私のスマホ。
「もしもし…」
『っ馬鹿っ!!お前どこにいんだよっ!!!皆心配
してんだぞっ!?今から迎えに行くから、場所言えっ!!』
颯…あんたって、なにかといつも優しいよね…?
私、なんでだろ?颯の声聴くと、なんとなく安心できる…。
すると、とめどなく涙が溢れてきた…。
「颯…颯~…。颯ぇ~」
私は、幼い子供みたいに何回も颯の名前を呼んだ。

