渚side


さっき聞いた真実にもう、言葉を無くした。

呆れすぎた。そんなしょうむない理由で

大事な家族を殺したの…?

そんなやつに騙されていたの…

でも、本当はずっと思ってた。

私が、将太と付き合わなかったらお兄ちゃんは死ななかった。

私が、もうすこしでも強かったらお兄ちゃんは死ななかった。

全部…私のせいなんだ…。

私さえ居なかったら、お母さんも悲しまずに済んだ。

私がもっと強かったら、お姉ちゃんも悲しまずに済んだんだ。

私が将太に捕まらなかったら、お父さんも悲しまずに済んだんだ。


私の…せい。お兄ちゃん、ごめんね…。

不幸な妹で、ごめんね。


目の前には、ボコボコにされてる将太の姿。


私は、フラリと、立ち上がった。

でも、体に力が入らなくて、フラフラ。


「渚っ。」


そんなあたしを真っ先に見つけてくれたのが


「颯…。」


颯は、いつも、ちゃっかり、優しいんだ…。


私は、将太に近づいた。


「将太、絶対に逃げないで…?」


「わぁーったよ」


将太の返事を確認してから、将太の縄を解いた。


「おいっ!嬢!」


「渚っ!!!」


皆の声が聞こえる。


「ねぇ。将太…