一匹狼に恋をした。




怜side


今、渚の後に続いて、将太の前に立つ。


こいつのせいで、渚は3年もの長い間苦しみ続けたんだ…。

こいつのせいで、渚は消えない傷跡を持ったんだ…。

お前のせいで…お前のせいで…


俺は、無意識に下唇を噛みしめた。


「渚っ!!頼む許してくれっ!!本当に話したいだけだったんだ。

 お前を気絶させたのは、俺じゃないっ!!

 俺が指示したわけでもないっ!!お願いだ。信じてくれ…」


「今さら、そんなの関係ないよ。しかも、あんた何に

 謝ってんの?私を、ボコボコにしたこと?

 しかもそれは、自分の意思じゃないって?俺は、関係ありませんって?

 ふざけないでよ。今さらあんたを信じろなんて無理。しかも

 殴ったのは、間違いなくあんたでしょうが。」


柱に縛り付けられた将太。と、ほか仲間。


渚の顔は、いつもの面影がなく、目の奥が据わっている。


「しかも、私が切れてんのは、私のことじゃない。

 お兄ちゃんが殺されたことだよっ!!

 あんたも、お兄ちゃんと同じ運命辿ってみる?倍返しでね?」


「お前、そんな昔のことまだ引きずってんのか?長いよ。重いよ。

 もう、忘れろよ。」


「お前っ!!」

皆が、一歩前に足を踏み出した。手に拳を握りながら。


皆が握った拳は怒りのあまり、震えていた。


「あんたって…最っっっ低!!!」


渚の声とともに乾いた音が聞こえる。