トビラの向こう側


今の状況に相応しくない声が私を戸惑わせた。


そんな私に気づかない彼は…

首筋に唇を這わして敏感な耳元に口づけし軽く噛んだ。


《彼の前から消えて》


《2週間後にはまた会えるからな。
待ってろよ》

《じゃあな、行ってくるよ》


更に聞こえてくる…声の人物達を探ろうとした時…
頭が酷く痛みだした。


あまりの痛さに片手で、こめかみの辺りを押さえた。


顔を歪めた私に彼はやっと気づいたらしく動きを止めた。


「どうした?」


「頭が…いた…」


「おい!大丈夫か?」


締め付けられるような痛みに返事ができず…