トビラの向こう側



「あの…わたし高遠さん…事が…す…きです」


「よく聞こえなかったんだけど」


嘘つき…絶対、聞こえてた…だって唇の端をあげて意地悪く笑ってるもの。


「もう一度ちゃんと聞こえるように言って」


「……」

「言って」


「高遠さんが好きです」


気がついたら高遠さんの腕の中にいた。

ギュウッと強く抱きしめられ二度目のキス…


角度を変えては何度も口づけを交わす。

再度あの甘い心地よさに陶酔していく…


《こんなにまだ好きなのに…離れたくないよ…》


《黙って貴方の前から消えるしかないよね…》


《これが、きっと最後になるね》


不意に頭に浮かんできた声…